ペットの飼育数と殺処分

2015年の段階でともにおおよそ1000万匹であったイヌとネコの飼育数。人口が減少しつつあるなか、ペットの飼育総数は確実に増加しています。わたしたちの生活を豊かにしてくれるペット。しかしその反面わたしたちがあまり知らないペットの悲しい側面もあるのです。これからきたるべきペット社会の中、虐待されるペットの様子や殺処分されるペットのニュースなども目にすることがあるでしょう。年間どれくらいのペットが殺処分されているかご存知でしょうか。

減少しつつある殺処分数

環境省自然環境局によると、平成26年度の段階で殺処分されるペットの数は10万匹を超えていました。飼育数がイヌとネコで2000万匹だということを考えると割合的には少ないと感じるかもしれません。しかし、それだけ多くの命が人間の手によって失われているというのも一つの真実なのです。近年NPOや様々な団体などの努力によって少しずつ殺処分される動物の数は減っていきました。平成28年度には約6万匹にまで減少しました。しかしこの数字は先進国の中ではありえないくらいの多さで、引き続きこの数を引き下げていかなければなりません。

殺処分が多い理由

日本における殺処分の多い理由として、主に経済的理由が挙げられます。たとえば保健所で保護され殺処分になってしまう背景として、保健所やそういった機関で保護していくにはあまりにも多すぎる数の動物が保護されているからです。そもそもそれほど多くの動物が保健所に収容されるのはなぜでしょうか。飼い主が経済的理由からペットを飼えなくなり放した、ペットショップが廃業しそこで飼っていた動物を殺処分する、またブリーダーが生産しすぎたペットなどが持ち込まれているのです。これらの理由もその背景には経済的な問題があります。可愛い、癒されるというペットの明るい一面だけを見るのではなく、そういった悲しい現実があるということも知ってほしいのです。

ペットの葬儀・火葬

ペットの命ということを考えたときに、わたしたち飼い主はどうしてあげればいいでしょうか。多くのペットはわたしたちより寿命が短く、わたしたち飼い主がその最期を看取り埋葬してあげなければなりません。現在飼育されているイヌとネコの数が合わせて2000万匹だというのであれば、少なくとも20年ほどでそれらのほぼすべてが寿命を迎えるからです。ペットを飼うということはそのペットを最後まで世話をするということです。その重みをもう一度考え、すべての飼い主が飼い主として責任を持った行動をとってくれれば殺処分される動物の数ももっと少なくなるはずです。